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al cioccolato

今日は、先日入荷した猪でメインになる肉料理を作る事にした。

昨年も作ったが、トマト系かチョコレート煮込みにするか迷い
奥様にどちらにしようかと聞いてみると、
「チョコレートが良いんじゃない?バレンタインデーも近いし!」
との返事・・・。

ジョイアでは、バレンタインだから特別料理やコースはやっておらず
食事する喜びや幸せを感じる為の普段使い出来るレストランとしての
料理を提供しているから、いつもならバレンタインとかは気にしないんですが
確かにせっかくバレンタインデーも近いし
僕の作る料理で、チョコレートを使って好きな食材は猪だけだから
チョコレート煮込みを作る事にしました。  

まずは昨晩、パスタソースの時と同様に赤ワインと野菜、ハーブ、スパイスと
一緒にマリネしておいた物を
野菜だけミジン切りにして鍋で軽く炒めてから、
塩、胡椒して軽く焼き目を付けた猪を入れ
さらにマリネした赤ワインを入れ煮込み、
灰汁をすくってからレーズンと松の実を入れて少し煮込む。


ある程度煮込み、味も出て来た所でチョコレートを投入!

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味を調えてチョコレートが馴染んで来たら完成!




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僕はチョコレートが少ししっかり目で主張して
甘味を感じる位が好きだけど、パイナップル入り酢豚は苦手みたいな
人にも喜んでもらえるかな?

でもパスタの後にこれで赤ワインを楽しめる季節は冬しかないなと
思うんですよね!


この料理と初めて出会ったのも、
イタリアで最初に勤めたフィレンツェの食堂。

ジュリアーノの後に働いた若いシェフが作ったチョコレート煮を
初めて食べた時は、
正直僕の口には合わない異国の味だな?
位にしか感じなかったが、
そのシェフがわがままを言って自分だけ2週間の冬休みを取り、
代わりに助っ人で来た系列店で一番高級な一つ星の店の
スーシェフが作ったチョコレート煮は同じ料理と思えない程
美味しくてすぐに好きになった!

ほとんど同じ材料で作ってるのに、材料配分や作業工程を
細かく丁寧に仕上げていく事で雲泥の差が出る料理を作る2つ年下で
同じ外国人のスコットランド人の彼は、
たった2週間限定で初めて働くキッチンで、
料理方法どころかメニュー自体の大半も2週間だけの彼のやり方に変え、
本場の料理どころかイタリア語の理解力さえ
僕はまだまだ不十分だったが、
2週間の繋ぎシェフと言う任務でもこれほどの衝撃を与えてくれた
彼を心底尊敬し、彼の2週間を全て自分の物にしたいと
通常イタリアでは、ランチとディナーの間の長い休憩時間は家に帰り
休憩する所を、経験も言葉も足りない分ぶっ続けで働いてカバーし
彼に食らい付いていくのが誠意一杯だったけど
ギリギリの疲労感よりも一緒に働けた事が満足な有意義な無茶だった。


彼の働く店に皆で食事に行って
そこで働いていた日本人の人と話した時に、
「彼が君と働きに行ったら、凄い無茶苦茶働くからほんとに疲れた。
 あんなに働けないからもうあそこには行きたくない。」
と、言ってたよ!と笑って教えてくれた。

彼もまたいつもは2番だったから、短い期間のシェフ経験に
無茶する位で挑んで来てくれたんだと思った。

ありがとう!

ジュリアーノ同様、帰国する前に尊敬するマエストロに値する彼に
挨拶に別れの挨拶をしに行ったら

「そうか、残念だな。今度イタリアに来た時は俺と一緒に働こう!」
「でも、もうあんな150席もの客席を2人で回す食堂じゃなくてここみたいな
ちゃんとしたレストランでなっ!」
と笑いながら力強い握手をして僕の旅立ちを励まして送り出してくれた。


やはり彼も、10年経った今現在の事はわからないけど
間違いなく立派なレストランで素晴しいシェフになってるのは間違いないけど
それはイタリアかな?
もしくは母国のスコットランド?イギリスやアメリカ?
英語の話せる彼は何処だって素晴しいシェフとして活躍してるんだろうな!

# by sicilianima | 2012-01-31 00:49 | Maestro  

cinghiale

この時期になると、どうしても食べたくなる肉の食材は猪!

と言っても、イタリア修行に行く前は存在さえ知ってはいたものの
車の免許を取り立ての時に、友達とふらふら毎日ドライブしていて
偶然丹沢湖近辺で入った店で猪鍋を一度食べた程度で
自分で調理したのは、イタリア初修行の地フィレンツェで
力強くワイルドなのに何故か親しみ易いその味と香りに虜になった。

そして昨年、群馬在住の叔父さんに相談して
叔父さんの友達の猟師さんに猪を送ってもらって
猪を堪能したのだが、
今年は不猟だということで半ば諦めかけていたが
年末に地元に久々に帰省した岡山在住の先輩の話を思い出して
『そういえば、岡山でも猪が捕れるかな?』
と、連絡してみた所
スポーツ整体院を経営している先輩のお客様が
知り合いに猟師さんが居ると言うので早速連絡を取ってもらい
快く了承を頂いたので捕獲の連絡を待った。

10日間位経っただろうか?
猟師さんから捕獲の電話が鳴った!
「40キロ位のが罠にかかったけど、小さいから脂の乗りは少ないけど状態は良いよ!」
 
と、朗報だった。

『はい!宜しくお願いします!』
と即座にお願いして送って貰う事にした。

昨年同様、イタリア修行以前から苦楽を共にしてきた15年来の戦友で
長谷でイタリアワインと食材、イタリア惣菜を売る店を出している
古澤君とジョイアで一頭買いして半分ずつ使う事にした。

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こちらの猟師さんは、捕獲後すぐに内臓を処理して吊るし
血を抜いた後に近くの谷川の冷たい水に浸けて肉の温度を下げ
そして冷蔵庫で一日熟成保管した後に出荷してくれた
その猪は本当に良い状態で内ロースはタタキで食べるのが最高!
とおっしゃっていたので早速賄いで頂いた!



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最高!!!
全く臭みも無く、力強い赤味を噛み締めて堪能。
40キロと小さい猪を2等分したので内ロースはこれで全てなのが残念。

そして、まずはパスタソースのラグーを作る事にした。

香味野菜、スパイス類、ハーブと赤ワインで一晩マリネ



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さらに包丁でパスタに絡みやすい大きさに刻んでじっくり煮込む。



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今夜のディナーメニューから登場しました
猪ラグーのタリアテッレです!



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魚も旨いが、肉も良いー!

好き嫌い無く、好き大好きな僕です。

# by sicilianima | 2012-01-28 01:59 | Cucina  

ieri

昨日定休日の水曜日、
やはり昨日も佐島へ向かった。

まずは安田さんで予約しておいたアトム君を購入!

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安田さんの事は少し前から聞いたことはあっても
なかなか行かずに、昨年秋位から勇気を出して買いに行ってみたら
ふくよかな優しさでとても濃厚な味に魅せられて
3種類ある卵の中で、アトム君でドルチェを作ることにしている。

なんでもそうだろうけど、直接食材を買いに行くというのは
業者さんやスーパーで買い物するのとは違い
最初は解からない事ばかりで、少し馴れてきた師走でも
お歳暮需要で卵が売り切れなほど人気のある卵で
この所は予約させてもらえる事を知り予約で買いに行っている。

魚屋さん同様ここも温かい人達ばかりで
毎回買いに行き、挨拶をして少し会話してくるのが
とても楽しい休日買出しスポットで休みを楽しくしてくれる。


そしていつものお魚屋さん2店でも
挨拶と軽い会話をしてから、並んでいる子達の顔ぶれを見て
明日からどうやってこの子達を活躍させられるのか
イメージしながらウロウロしたり固まったりしたのちに購入!
自分で選んだ子もいるけど、毎週通っていると
お魚屋さんの人達も一番オススメの子を選んでくれたり
選び方を教えてくれたりする。

もちろん同じ種類ならどれも今日揚がった子達だから
普通に見ればどれも最高で、その中のさらに肉付きの良い物を
選んで教えてくれるのだから
普段から魚を使っていても容易ではない事で
自分には比較にならない時間で魚と触れ合い
得た経験を伝えてくれる魚屋さんとの時間は
休日でもかけがえの無いありがたい瞬間!




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今日連れて帰った子達もすぐに店でした処理をした。
勿論この方が身の状態も良く保存できるからなのだが、
今日はスズキには白子、ウマヅラハギには肝がたっぷり入っていたので
内臓はさらに早めの処理が美味しいでしょ?!

本日木曜日、早速調理。
身の部分は勿論だが、ディナーでは白子と肝もフリットで登場!



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数が少ないけど、好きな人にはこれでワインを楽しめるかと思うと、
いや 是非!
な一皿・・・です。
いつもこんな感じでこの子達の活躍を妄想して楽しんでいる僕です!

# by sicilianima | 2012-01-27 01:08 | Esperienza  

i agrumi

冬になると柑橘類が何種類も出て来て、シチリアで柑橘類を使った料理に
魅せられた僕は寒いのが苦手でも冬になるとワクワクする。

この季節のジョイアでは以前からお世話になっている小田原の穂坂さんが作る柑橘類を
使わせて頂いています。

今年も年末から蜜柑とレモンが届きました!

今日は海老と蜜柑のクリームリゾット。


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海老とほんのりチーズのクリームリゾットに蜜柑の皮をおろし入れて有ります!

えっ?蜜柑の皮だけ???
と、思う方もいらっしゃるかもしれませんが
優しい甘味の海老の入ったクリームリゾットに蜜柑の皮が入るのと
入らないのでは雲泥の差で凄く爽やかな幸せ味と香りになるんです。

勿論、蜜柑の中身もドレッシングとしてサラダや魚のカルパッチョに使っていますよ。



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そしてレモンは


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マルメラータ(ジャム)にする為に灰汁抜き中。

このマルメラータでドルチェや魚料理のソースを作ります!

昨年はこの他にも金柑、オレンジ、黄金柑等を送って頂いて
神奈川の冬期柑橘類を存分に楽しませて頂きました。

今年も楽しみな食材の季節が始まりました。

# by sicilianima | 2012-01-24 00:30 | Cucina  

Giuliano

イタリアに修行の最初に選んだ場所フィレンツェ

そこで初めて働いた店のシェフがジュリアーノ、全く言葉も解からずなかなか
仕事を見つけられず直接交渉で13件目にやっとスコットランド人オーナーの
経営する150席の食堂でどれだけ仕事が出来るのか1ヶ月無給で試され
無我夢中でジュリアーノに付いて働き、やっと本契約に漕ぎ着けた直後に
事件は起きた!

一ヶ月の期間で店のメニューを全て作れるようになった僕に突然
「俺の知り合いで、お前の好きな郷土料理の店をこの近くでやってる
女性オーナーシェフがお前を欲しがってるんだけど行くか?」
と、切り出してきたジュリアーノ。

『僕はジュリアーノに付いて働けて満足だからここで働きたいよ』
と返事したらジュリアーノは何とも言えない感じだった。

そして数日後、
「明日歯医者に行くから明日はお前がみんなの賄いを作ってくれるか?」
とジュリアーノに聞かれ
『勿論出来ます!』
と答え、次の日賄いが終わってもジュリアーノは来ない。
とうとうディナーが始まってしまい、いつもジュリアーノとやっていた
プリモピアットとセコンドピアットを洗い場のロランドのサポートを受け
なんとか2人で営業終了。

そのまま2週間、ジュリアーノ不在のままロランドと2人で
キッチンを切り盛りした後もジュリアーノは帰ってこず
良いシェフが見つからずに自分より若い頼りないシェフのサポートをしながら約1年間その店で
この店で働き大変な思いをしたけれど、
ジュリアーノは僕に素晴しい贈り物を残していってくれた。

ルーコラと松の実ペーストのペンネ
 
僕は彼のこの一皿がお気に入りで、今はこの一皿を自分流にして
その時取れるハーブとそのハーブに合うナッツで作っている。

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今日は中でも一番好きな組み合わせの、ルーコラとピスタチオ

僕個人の好みではルーコラの清々しさにはピスタチオの優しい甘さとマッタリしたコクが好きだ。




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ジョイアでは自家製ハーブを使用して看板メニューの一皿になり、
お客様にも好評を頂いている。



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そして僕はフィレンツェのこの店で1年間の仕事をして、
資金も尽きヘトヘトになったので一度帰国して体制を立て直そうと
退職を申し出た直後にピッツァイオーロからジュリアーノが今
働いている店の情報を得て、電車で30分かけてジュリアーノの働いている
小さな街の食堂に食事に行き
ジュリアーノの料理を食べ終えた後、キッチンに入って行った。

『チャオ ジュリアーノ!今日も美味しかったよ。』

突然行ったので、幽霊でも見たかのように目を見開いて驚くジュリアーノ、
「おまえ、まだイタリアに居たのか?」

『うん!あれから大変だったけどあの店で1年間働いたんだ、短い期間だったけどジュリアーノと働けて本当に良かったよ。
もう、日本へ帰るから今日はジュリアーノに挨拶に来たんだよ!』

ジュリアーノは少し涙ぐんで力強く握手をし、お別れとお互いのこれからの幸福を願った。

ありがとうジュリアーノ、あれから10年経ったけど今も元気にしてるかな?

# by sicilianima | 2012-01-23 01:06 | Maestro